首の痛みと甲状腺

首の痛みは、甲状腺の病気が原因で起きていることもあります。甲状腺は首の真ん中、やや下方にあり、ホルモン産生を担っている重要な組織です。大きさは縦4.5cm、横4.0cmほどで、正面から見た形はよく蝶にたとえられます。

甲状腺の病気で首が痛むものとして代表的なのが、亜急性甲状腺炎。甲状腺が腫れて痛みが出るほか、しばしば熱が出たり、耳の後ろや後頭部まで痛くなったりします。首の痛みには幅があり、あくび等の刺激により少し痛む程度で済むものもあれば、軽く触れただけで激痛が走る場合もあります。高熱と激痛で、かなり消耗してしまうケースもあるそうです。

そのほかにも、ホルモンが甲状腺から漏れてしまう為に、バセドウ病のような症状が見られることもあります。ただし症状は自然に治まっていきますし、腫れも一時的なもので、再発も滅多にないと言われています。

また、甲状腺ガンでも痛みを生じることがあります。甲状腺ガンは乳頭ガン、濾胞(ろほう)ガン、髄様(ずいよう)ガン、未分化ガンに分けられるのですが、この内の未分化ガンの場合は腫瘍の成長が早く、息苦しさや痛みを伴うと言われています。

ただ、甲状腺の病気全体でいえば、首の痛みを伴うものはむしろまれであり、痛みから病気の存在が分かることは少ないのだそうです。腫れやしこりが手がかりになることが殆どなのですね。首の前面が腫れていると人から指摘されたり、健診時に医師から「甲状腺が大きい」と言われたりして、気づくことが多いようです。